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   <2007年2月19日>
第41回
「レーシーな人々」 <御殿場のゴッドハンド@>

最近、ドラテクコーナーの話になると、必ずと言って良いほど、“レーシーな人々”が読みたいと、多くの方々からリクエストをいただきますので、今回は久しぶりに、“レーシーな人々”をお届けしましょう。

今回の登場人物は、株式会社M●Z 代表取締役の今西豊氏です。
そう、今回は実名で・・・・・いや、この名前は架空の人物ということにして、田中が一人ででっち上げたということにしてくださいね。
もし、まわりに、同姓同名のレース関係者がいても、絶対確認したり、このコーナーのことを本人にチクらないことを約束できる人だけこの先に進んでください。


HYPERCO 取扱い始めました。
各方面より反響続々です!
私は、
今西豊氏のことを“今西先生”と呼ぶ。
なぜ、先生と呼ぶかは、この先を読めばわかるが、とにかく、常人では考えられない、
発想、行動、思考の持ち主なのである。
ことわっておくが、関西人がよく人を小バカにするときに使用する、“○○先生”という
のとは明らかに違うので、お間違いなきよう。

“今西先生”は、元々、トムスが、ル・マン24時間を始めとする、グループCというカテゴリーに参戦していたころのチーフメカニックである。そう、クルマ作りにかけては、レース界で知らない人がいないくらいの重鎮、いや、人間国宝的な存在なのです。

今は、トムスを退社して、金属の削り物をメインとするレーシングパーツ製作会社の社長さんで、多くのレーシングチームが“今西先生”の神業的な削り物で、毎年シリーズを戦っているのです。

まず、何がすごいって、“今西先生”に図面は不要なのです。
もちろん、流暢にCADも使えるのに、ウン千万円もするNC旋盤を、すべて手入力で数字を入れ、なんでも作ってしまうのです。
私が電話で、どのように試作品を作ってほしいか話をし、その後で、小学生が書いたようなフリーハンドの図面をFAXすると、“あら不思議”、翌日には、寸分の狂いもなく、
おまけに使用用途を考えた“今西先生”独自のアイデアが多数織り込まれた試作品が届くのです。
通常だったら、図面がないとできないとか、どの材料で削るとか、事前に不確定な要素をすべてクリアーにしないと作ってくれないし、製作納期が1ヶ月なんてよくある話ですが、
“今西先生”のゴットハンドにかかれば、想像をはるかに超える、すごい試作品があっという間に届くのです。ワンオフの塊のようなレーシングカーにとって、まさに“今西先生”の存在は、必要不可欠なのです。


しかし、職人というか、特殊技術を持っている人は・・・・・・・やっぱり、ちょっと変わっているのです。
では、“今西先生”の武勇伝をいくつか紹介しましょう。

まず、“今西先生”は、疲れを知りません。
グループC全盛期の80年代後半、トムスのチーフメカニックだった“今西先生”にとって、徹夜なんて当たり前の中の当たり前。それも、車両製作が佳境を迎えると10日連続の徹夜なんて、当時は度々あったそうです。
メカニックが一人倒れ、二人倒れ、全員ゾンビ集団になっても、“今西先生”だけは普通に働いていたといいます。そして、10日ぶりに自宅へ帰り(当時はまだ奥さんがいたんですが・・・・・)、久しぶりにお風呂へ入った“今西先生”。
なんと、脱衣場に脱ぎ捨てた、靴下が見事に “立っていた”らしいです。

あっ、靴下で思い出しましたが、当時、“今西先生”は、スキーが大好きでした。
それも、半端ではないぐらいのスピード狂で、案の定、シリーズ直前の大切な時期に、
足を骨折してしまったのです。
普通なら、病院に行き、ギブスを付けてもらって、全治2ヶ月となるところですが、もちろん翌日からは、休むことのできない激務が待っています。
おまけに、“今西先生”は、大の医者嫌いで有名な人なのであります。

そこで、“今西先生”は、みんなより一足先に工場まで帰り、あろうことか、
ファイバーで自分の足を覆い、ペタペタと固めだしたのです。
そう、レーシングメカニックならではの発想で、完全密着の強度抜群ギブスを作ってしまったのです。このギブスの出来栄えはかなりのもので、何事も無かったようにスイスイと工場の中を歩き回る“今西先生”。しかし、この時点で“今西先生”は、このギブスを外す時のことは、まったく考えていなかったのである。
そう、スネ毛と皮膚が一体になったギブスを外すときは、
骨折したときよりも、大きな痛みであったとは、まだあまり知られていない。


そういえば、“今西先生”の、医者嫌いは、ハンパではなく、とにかく何でも自分で対処しようとしてしまうのです。

悲劇は、一本の虫歯から始まりました。
以前から、虫歯で困っていた“今西先生”は、あろうことか、自分で治療を始めてしまいました。治療といっても、単純で、ペンチにより自分自身で、歯をブチ抜いたのです。
しかーし、歯は抜けたものの、神経というのが残ってますよね・・・・・・。
もちろん“今西先生”も、この神経というやつを、取り去ろうと数々のSST(スペシャルな工具ね)を駆使するのですが、どんどん血が出るわりに、一向にうまく取れません。
そして、最終的にあきらめて、眠りに着いたものの、痛みでなかなか眠れない“今西先生”。
普通こうなれば、あきらめてお医者さんに行きますよね。
でも“今西先生”は、この状況から「なんとナイフで自分の太ももを刺した」のです。
“今西先生”いわく、太ももの痛みで、歯の痛みを忘れられるという、信じられない発想です。

挙句の果て、まだ歯の方が痛かった、“今西先生”は、
太ももの傷に、なんと“塩をすり込んだ”のでした。
そして、「ギャー」という悲鳴のあと、“今西先生”は、スヤスヤと眠りに着いたのでした。

やっぱ、超人です、“今西先生”は・・・・・・・。

では、次回は、“今西先生”の食へのこだわりをお届けしましょう。


次回は3月15日更新の予定です。
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