車両のサスペンション形式が「ダブルウィッシュボーン」と「ストラット」の場合、サスペンション自体がストローク(伸び縮み)
 することで、タイヤのキャンバー角が変化する仕組みとなっています。
 この仕組みは、サスペンションが縮むとキャンバーがネガティブ方向(図1)に変化し、逆に伸びるとポジティブ方向(図1)
 に変化するようになっています。

 では、なぜこのような設計となっているのでしょうか。車は走行中、コーナーリングなどで車体がロールして傾くとタイヤと
 ボディをつないでいるアーム類も一緒に傾き、タイヤのアウト側の接地力が強く(図2)なってしまうからです。

また、コーナーリング中に”G”とタイヤのグリップ力によって発生
する「タイヤのよじれ」による有効接地面積の減少を抑えるために
ネガティブキャンバーが必要とされます。
 このような理由からサーキット走行など激しい”G”が発生し、
 かつ、タイヤのグリップ力が高い場合や、サスペンションストロー
 クによるキャンバー変化だけでは対応しきれなくなってしまう場
 合に、初期状態からネガティブ方向にキャンバー角を設定する
 ことが必要となります。
 あらかじめキャンバー角を付けておくと、コーナーリング中に必
 要となるタイヤの接地面が広くなり、グリップ力を最大限に引き
 出すことができます。



 逆に図5のようにイン側の温度がアウト側の温度
 よりも高い場合は、静止状態でキャンバー角が付き
 過ぎてしまっていると言えます。

では、キャンバー角は何を基準に設定すれば良いのでしょうか?
答えは、「タイヤ温度」にあります。走行中、タイヤが強く接地して
いる部分は、温度が高くなり、逆にタイヤの接地が弱い部分は、
温度が低くなります。
したがって、図4のようにイン側の温度がアウト側よりも高い場合
は、静止状態でのキャンバー角が足りない(小さい)と言えます。


 では、キャンバー角が理想の状態ではタイヤ温度はどのような
 分布を示すのでしょうか。
 キャンバー角が適正であるということは、コーナーリング中に
 タイヤの接地面積が最大限に確保されている状態といえるの
 で、タイヤ温度の分布は、図6のようにイン側の温度がアウト側
 に対して約3〜5℃程度高い状態になります。
 このように、タイヤの温度を管理することで、今まで判断が
 難しかった理想のキャンバー角を探し出すことができるのです。

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