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第15回 「荷重編C」 <ボウリングの玉 その3> <2005年02月25日>

前回までは、荷重移動を理解するために、ボウリングの球の動く方向と、動くスピードをイメージすることが
重要だという話でしたが、今回のはそのボウリングの球でイメージする荷重移動編の最終回!
ということで、かなり突っ込んだ話をしようと思います。

もし、前回と、前々回のボウリングの球の話が、今ひとつ???の人は、もう一度読み返してから今回のコラムを
読み返してもらうと、よりわかりやすいと思いますよ。
“パッ”っと一回読んだだけで、今回の内容が完璧に理解できたあなたは、かなりのドラテクマニアです。
では、はじめましょう!

前回も話したように、ボウリングの球を動かす要因は、ブレーキ、アクセル、ステアリングの3つです。
(路面の勾配・凸凹は除きます)
この3つを操作して、ボウリングの球の動く方向とスピードをコントロールできると、荷重による“魔法のグリップ”が使える
という仕組みです。
そこで今回は、クルマを速く走らせる為に一番難しいと言われている、ブレーキングからコーナリングの
“つなぎ”の部分をこっそり教えちゃいます。

では、前回と同じく、4速から2速に減速して曲がる“左”コーナーを例に解説しましょう。
まず、フルブレーキング&シフトダウンにより、ボウリングの球は、フロント部分、真ん中の壁に張り付きます。
そこから、少しずつステアリングを左に切り、ボウリングの球を、右フロントに移してゆくのですが、
このときのスピードが“とっても大切なのです”
この時、急激にステアリングを切り込むと、ボウリングの球の移動スピードが急に速くなり、激しく右前角の壁に
激突します。荷重的に話をすると、激突により、一瞬、右フロントの荷重は急激に増加し、右フロントタイヤがグリップ
します。急激に右フロントの荷重が増えるということは、対角線上にある左リアタイヤは、急激に荷重が抜けることに
なり、グリップを失います。結果、クルマは唐突にオーバーステア状態になってしまうのです。
また、反対に、急激な荷重移動により、荷重がタイヤにかかる前に横方向の衝撃を受けた場合、急激なアンダーステア状態になることもあります。いずれにせよ、これらは有効な荷重移動とは言えません

では、どのように、ボウリングの球を右フロントに移動させるのが効率的なのでしょうか?
それは、加速度的に転がすのではなく、一定のスピードでゆっくりと移動させながら、やさしく右前角に“固定”させるの
です。そして、固定した瞬間からは、ハンドルを切り足すと、右フロントが安定した状態(ボウリングの球がフラフラ動かない状態)で、荷重がドンドン増えていくのです。ボウリングの球を固定した状態で、ドンドン押し付けいていく感覚。
これぞ“魔法のグリップ”の真髄です。

要するに、荷重をハイレベルに活用するためのポイントは、ボウリングの球を前の壁に押し付けている状態で
ゆっくり動かすことです。
特にブレーキングからコーナーに対してのアプローチでは、フロントタイヤのグリップを最大限利用するため、
かなりシビアなボウリングの球のコントロールが必要です。ボウリングの球は、壁から離れると不安定に前後左右へ
動きますので、前の壁にしっかり押し付けて、動きを少なくした状態からスムーズに右フロントへ(左コーナーの場合)
移動させると効率よく荷重のグリップが使えるのです。

一般的に荷重を使えないドライバーのステアリング操作は、コーナーに対して、切り始めるタイミングが遅く、
いったん切り出すと、切り込んでいくスピードが速い傾向にあります。要するに、コーナーの奥までいってから
“スパッ”っとステアリングを切ってしまいます。
反対に、荷重でコーナリングできるドライバーは、切り始めるタイミングが速く、切り込んでいくスピードは
ゆっくりとなるのです。

ちょっと、難しかったけれど理解してもらえましたか?
このコーナーリングができると、サーキットでの大幅なタイムアップがかなり期待できますよ!!


次回は、レーシングカーの荷重セットアップの話です。

次回は、3月11日のアップ予定です。
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