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   <2008年10月8日>
第57回
空力パーツによるセットアップ <そのB> 「GTウィング編」


みなさんこんにちは。最近は雨ばかりが続いていますね。

そんな雨の中、田中は、開発、開発、開発、開発、・・・・一色の、毎日です。
で、何をやっているかというと、じつは大きく分けて2つのプロジェクトを現在、立ち上げ中なのです。


もう、雑誌等でもちょこっとリークしていますが、ひとつ目は、ブレーキパッドの開発。これは、今までのパッドの常識をくつがえすプロジェクトで、サーキットでラップタイムを上げるには、どういったパッド特性が必要かをとことん追求した、超マニアックなブレーキパッドの展開です。

現時点で、投入することが決定した摩材の数は、な、なんと14種類!田中がどれだけ本気か、想像がつくでしょう? なんとか、年内にはリリースができるように、今、頑張っていますので、あと、コンマ5秒、いや、1秒のタイムアップを切望している全国のサーキット走行大好きのみなさん、今しばらくのお待ちを。とんでもなく、マニアックで、非常に理にかなっているブレーキパッドをもうすぐ、リリースしますので。


そして、もうひとつは、スズキのスイフトスポーツのパーツを現在作っています。
このプロジェクトは、どちらかというと、コンパクト大好きな田中の趣味の世界です。

じつは、私は無類のコンパクト好きでして、マイカーも、ヴィッツ → フィット → スイフト と乗り継ぎ、おまけに、現役時代、現行ヴィッツのワンメイクレース専用車両の開発を専任で1年間行ったことから、「こんなことやってみたいなぁ・・」という、野心?がたくさんあったのです。そこで、スイフトに乗ったら、もう我慢できなくなって、ついに作り出したという経緯です。


スイフトスポーツ ZC31S!
開発しているのは、パーツはパーツでも、ちょこっとしたものではなく、かなり大掛かりなものばかりで、リリースしたらきっとみなさんにも「田中らしいなぁ」と言ってもらえると思います。これから少しずつ、このコーナーでリークしていきますので、こちらの展開も、乞うご期待です。あくまでも、趣味の世界ですが・・・・・。





さて、今回はGTウイングの続きです。


GTウイングの迎え角の話は、前回話をしたとおりですが、じつは車幅と同じぐらい左右に長いGTウイングの、どの部分でも均等にダウンフォースを発生させているわけではありません。

では、どの部分がメインかと言いますと、それは、両端の30センチぐらいで、全体の約70%のダウンフォースを発生させているのです。

話はかんたんです。下図のように、ボンネットから天井に流れてきた風は、リアガラス部の急激な落ち込みで剥離が起きて乱気流になります。こうなると、トランクの上は、かなりの負圧状態となります。



反対に、クルマのサイドウインド周辺を流れてきた、きれいに整流された風は、この負圧に引き込まれながら、きれいな状態で、ウイングの両端にあたり、大きなダウンフォースを発生するといった仕組みです。
(ドアの横に立ち、ガラスあたりの高さからGTウイングを見れば、"なるほど!"って思いますよ)

ですので、三次元形状のGTウイングは、両端には迎え角がつき、乱気流によりあまりダウンフォース効果のない中央部の風は、うまくウイングの下に逃がせるような形状になっているのです。

また、窓を開けると、折角きれいに流れているサイドの風が乱れ、GTウイングの両端にうまく当たらなくなることからダウンフォースは激減します。


だから、夏の暑いレースでも、スーパーGT等のレースでは、ドライバーは窓をあけず(昔は開けると無線で叱られましたが、今は開けられない仕組みになってる!)じっと我慢して、脱水症状になってしまうのです。

もちろん、よりきれいに整流された風をGTウイングに当てるために、ウイングの高さは、高い方が有利です。よって、同じウイング&同じ迎え角でも、ローマウントタイプより、ハイマウントタイプの方が、ダウンフォース量が増えることになります。

空力によるセットアップは、前後バランスが命です。角度調整がついていれば、いろいろトライして、ぜひ、BESTバランスを見つけてみてください。GTウイングがバッチリ効けば、ブレーキは抜群に安定しますので、タイムアップ間違いなしです。


以上、マニアックなGTウイングの話でした。


次回からは、開発秘話を少しだけリークしますね。
どっちからにしようか・・・。


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