TOP > 田中ミノルの勝手にドラテク講座! > 第27回
   
第27回 「タテとヨコグリップの法則」<基本編B> <2005年11月18日>
こんにちは。
スーパーGT最終戦は、一番速かったのに勝てませんでした・・・・・・。
一貴(中嶋一貴ね)の卒業レースは、ポールポジションからのスタートとなり、
ブッチギリの展開にもかかわらず、
せこく、ペースカーが入ったタイミングでピットインしたら、
トホホッ・・・・、ピット出口の信号が“赤”!
万事休すでした。
結局7位でチェッカーとなり、今シーズンのスーパーGTは、幕を下ろしたのです。
やっぱ、日頃の行いかな・・・・・・。

せっかくP・Pだったのにぃ〜・・・
さて、前回の、“タテとヨコ グリップの法則”基本編は、なんとな〜く、理解してもらえたでしょうか?

要するに、“10G”は、おこづかいのようなもので、タテに“5”使うと、ヨコには“5”までしか使えない、
ということなのです。だから、グリップをタテにいっぱい使いたいときは、ヨコは我慢して使わない。
反対に、ヨコにいっぱい使いたいときは、
タテは我慢して使わない。ということなのです。このバランス感覚を頭の中で理解して、コーナーのどの部分でも、
タテ+ヨコが10は超えないけれど、限りなく10に近い状態のままコーナリングすれば、とても効率の良い、
理想的なコーナリングになるということです。

では、この理想的なコーナリングをするための手順を説明します。

コーナーは、そうですね・・・・・、筑波2000の1コーナーを例にして話をしましょう。
このコーナーは、ご存知のように減速を伴うコーナーです。
と、言うことは、コーナリングの前に減速をしなければなりません。“タテとヨコの法則”を有効活用して
ブレーキングするためには、まず、ブレーキング中にヨコを使わないことが原則です。
だから、フルブレーキング中、ハンドルは真っ直ぐです。
もし、フルブレーキング中にリアが左右に暴れるセットになっているなら、修正蛇(カウンター)が必要となり、
少しだけヨコを使ってしまいますので、効率良く、タテにすべてのグリップを使うことができません。

そして、ここからが、ポイントです。
コーナリング中に、限りなく“10G”に近い状態をキープするために必要なことは、タテとヨコの融合が大切です。
そのためには、止まる(ブレーキング)と、曲がる(コーナリング)とを融合させることが必要不可欠です。
カンタンに言うと、止まると、曲がるをオーバーラップさせるということです。

実際の操作は、“タテ10”のブレーキングでコーナーが近づいてきたら、次に曲がる準備に入ります。
曲がるということは、ハンドルを切らなければならないので、ヨコのグリップを必要とします。
しかし、“タテ10”のブレーキングのままでは、仮にヨコに1しか使用しなかったとしても、10+1=11
となり、タイヤの限界を超えてしまいます。

そこで、ヨコに使う分だけタテを減らす必要があるのです。
たとえば、コーナリングの始まりの部分で、ヨコに1のグリップが必要なら、タテを9へ減らすのです。
ここで、またまたポイントですが、この減らすという作業は、ブレーキを少し緩めることで可能なのですが、
順序として、まず、タテを10→9にしてから、ヨコを0→1にするのではなく、この二つを同時に行います。
感覚的に言うと、ハンドルを切り込む分だけ、ブレーキを戻す訳です。それもリアルタイムに。

また、この作業はその先も続きます。
なぜなら、クリッピングポイントに向けて、ハンドルは、どんどん切り込んでいくからです。
ハンドルの切り角が増えるにしたがって、ヨコのグリップは、必要となりますので、ハンドル蛇角が増えるに従って、
タテ(ブレーキを踏む力)は、どんどん少なくならなくてはいけません。
要するに、クリッピングポイントまでが減速区間となるのです。

この、減速区間の、どの場所においてもタテ+ヨコが10に限りなく近いことがキモとなるのです。
だから、まずタテだけで考えたら、減速のためのフルブレーキでは、
もちろんタテ10。そしてハンドルを切り込んでいくことで9、8、7・・・・・・・・・0と減っていきます。
ヨコだけで考えたら、フルブレーキ時の、0から1、2、3・・・・・・・・10と増えていくのです。
両方を同時に考えると、

タテ    ヨコ
10  −  0     減速のためのフルブレーキング
 9  −  1     ハンドルの切り始め
 8  −  2     ハンドル蛇角がどんどん増え、ブレーキがどんどん弱くなる
 7  −  3      ↓
 6  −  4      ↓
 5  −  5      ↓
 4  −  6      ↓
 3  −  7      ↓
 2  −  8      ↓
 1  −  9      ↓
 0  − 10    クリッピングポイント(減速終了)

といった、タテとヨコの関係になります。
こんな風に、コーナーに飛び込めたら、まさに理想的!
おまけに、クリッピングポイントまで、少しでもブレーキが残っているということは、荷重的に見ても◎の走りとなるのです。


どうでしたか、しっかり頭の中で理解できましたか?
では、次回は、クリッピングポイントから、出口でのタテ、ヨコの関係を説明します。
次回は、12月2日のアップ予定です。
<<<Vol.26 ▲TOP▲ Vol.28>>>


※本サイト記載の価格は全て税込み価格となっております。ご了承ください。

Copyright(C) 2005 MINORU International. All Rights Reserved.