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   <2007年1月9日>
第40回
「足回りのセットアップ」 <ダンパー編 B>

みなさん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

お正月早々、知り合いから来た年賀状に、
謹賀新年 → 金が信念  と書いてありました・・・・・・・。
本当に心が狭いというか、世の中には、お金で買えないものがたくさんあることを教えてあげたい心境です。 ねっ、根谷監督!!
そう、お金で買えないものといえば、
TMSFでは、本当に多くのみなさんに祝福され、温かい引退セレモニーまでしていただき、
ただただ、感激・・・・・でした。ありがとうございました。

TMSFにご来場いただいた方々、
本当に有難うございました!
最終戦が終わって、シッカリ自分と向き合って決めた引退でしたが、正直、決意した日から、
一人になると涙が止まらず、TMSFの前夜も、当日も、まじで、涙で脱水症状になるんじゃないかと思うぐらい大泣きしてしまいました。

でも、泣くとスッキリするというか、切り替わるというか、涙を拭いて、これからも前を向いて歩いて行ける自信が芽生えてきましたので、引き続き、今回からもシッカリとドラテクをお伝えしたいと思います。
2007年も、お付き合いのほど、どーぞよろしくお願いします。


さて、今回は、ダンパー編の続きです。
みなさんもよくご存知のように、ダンパーの減衰力には、「バンプ」と「リバンプ」がありますよね。当然、縮み側が「バンプ」となり、伸び側が「リバンプ」となります。
そして、良くないダンパーは、「リバンプ」側の減衰力が強い、という特徴があると、田中は思うのです。

その理由は、ストローク中の動きを断片的に止めて考えるのではなく、「時間軸」つまり、「時間の経過に対して、どのように連続して動くか」、という側面から見ると、簡単に理解ができるはずです。

ダンパーの動きをデータレコーダーで解析してみると、小さなギャップによる荷重の変化や振動により、絶えず細かく上下運動を行っています。
もちろん、クルマ・走行環境・スプリングの種類により、そのサイクルは違いますが、大体、1秒間に、5回から15回ぐらいは上下動を繰り返しています。それも、1〜2ミリのとても小さい上下動です。

たとえば、1秒間に10回、路面のギャップを拾って、2ミリのスパンで上下動するダンパーがあったとしましょう。

この場合、まずはじめに、路面からの入力で、1G状態からダンパーが1ミリ縮みます。
そして、次の瞬間、その入力が抜けて、縮んだポイントから、今度は反対方向に2ミリ伸び上がり、その後も、新たな次の入力で、ダンパーが2ミリ縮み、そして2ミリ伸び上がるといった動きを繰り返すはずです。

もし、この状況で、「リバンプ」側の減衰力が強過ぎると、縮むときと、伸びるときでストロークするスピードが変わってきますよね。
そうすると、縮んだ状況から、伸びるまで、時間がかかりますので、その間に、次の入力がやって来ることになります。こうなると、スプリングは、今まで縮んでいたポジションより少しだけ多く縮みます。
で、また伸びきる前に次の入力というように、どんどん圧縮されてしまうのです。
結果、車高が下がり、スプリングが非常に硬い(強い)、反発力のある状況になってしまうことから、ピーキーで跳ねやすく、乗り心地が悪い状況になってしまうのです。

なぜ、リバンプ側の減衰力が強すぎるといけないか、理解できましたか?


そして、もうひとつ、ダンパーにとって、とても重要なことがあります。
それは、ダンパーが動きはじめるときの減衰の立ち上がり方です。じつは、この部分がダンパーのパーソナリティを決めていると言っても過言ではないのです。
つまり、スプリングが縮み始めたり、伸び始めたりする最初の1〜2ミリに、しっかりと減衰があることがポイントとなります。

この部分に減衰がしっかり発生するダンパーと、発生しないダンパーでは、クルマの動きにどのように違いが出るか説明しましょう。

初期に減衰が発生しにくい“イマイチ”のダンパーでは、タイヤからの入力が大きいと、かなりの勢いでストロークが始まります。ダンパーの減衰という引っかかりがないワケですから、かなりのスピードで、最初の数ミリを一気にストロークしてしまうのです。
で、その後、いきなりドンと高い減衰力が発生することから、一瞬、突っ張った状態になり、タイヤにかかる荷重の増減がピーキーになってしまうのです。チューニングカーのパワー特性で例えるなら、低速スカスカのビッグタービン仕様車といったところでしょうか。

対して、初期の数ミリにシッカリ減衰があるダンパーは、急激な入力によるダンパーの動き始めに一瞬、減衰を持たせてから動きますので、一気にストロークが始まりません。まさにレスポンス重視のタービン仕様といった感じで、コーナーの入り口から奥まで荷重変化がマイルドで、クルマの挙動もわかりやすいく、当然、ドライバーもコントロールしやすくなるワケです。

しかし、この部分にシッカリと減衰があるダンパーは、かなり少数です。なぜなら、この部分に
シッカリと減衰を持たせるには、内部構造をはじめ、かなりの精度が要求されるからです。
ダンパーテスターで上下に数ミリだけ、速く連続したサイクルでストロークさせてみて、シッカリ減衰があれば、かなりのダンパーですね。

また、極端に言ってしまえば、最初の数ミリ以上のストロークに対しては、減衰力はさほど必要ではありません。各メーカーが、とても気にしている、フレキションは、この部分に大きな減衰を作らないための方法論だと思います。


<<緊急告知!>>
1月12、13、14日
幕張メッセで開催される、東京オートサロンに“BILLION”は出展します!
(初出展ですのでちょっと、ドキドキです)

また、田中が愛してやまない、究極の性能を持つ、
あのアスリートスプリング “HYPERCO” (ハイパコ って読みます)も、同時出展で、いよいよ、お披露目です。

“HYPERCO”は普通の車高調用スプリングと、どう違うのかが、よ〜くわかる、プロモーションビデオも作りましたので、ぜひ、遊びに来てくださいね。
もちろん、開催中、田中はメッセに缶詰状態ですので、ドラテク系の質問も、バッチリレクチャーしちゃいますよ。
みなさんの、ご来場をお待ちしております。

(場所は、中ホールの中央近辺です)




次回は2月15日更新の予定です。
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