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   <2007年7月17日>
第46回
「足回りのセットアップ 10」 <スプリング編C>

なんだか、雨ばっかりの毎日ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

私は、レーシングドライバーを引退後、地道に部品開発に明け暮れる毎日を送ってます。

じつは、今、新ジャンル設立に向けて、レーシーな人々で以前登場した"今西先生"とガッチリとタッグを組んで、ある部品を作ってるんですね〜。
まだ、何かは言えませんが、すんごくスペシャルな部品ですので、乞うご期待です。

で、毎週のように"今西先生"の工場で試作と打ち合わせを繰り返すうちに、新たな武勇伝を発見してしまいました。

それは、"今西先生"が「マムシ」に噛まれた時の話です。
みなさんも、「マムシ」は知ってますよね? 猛毒を持った、そう、あの毒蛇です。
普通なら、噛まれた後、身体に毒がどんどん回る前に、すぐに病院にいって、"血清"を打ってもらい、そのまま、安静というパターンですよね。
しかし"今西先生"は、身体中にできた斑点模様(毒が回りだすと斑点模様が全身にできるらしい)を楽しみ、そのままスヤスヤと眠りについたのでした。

この先は話すまでもなく、次の日には、元気でいつもどおりの"今西先生"が、そこにはいたらしいです。
ホント、"今西先生"の身体は、いったいぜんたい、どうなってるのか?
常人の私には、理解不可能です・・・。


さて、今回はスプリングレートによるセットアップです。

スプリングレートを変更すると、フィーリングは大きく変わりますよね?
硬く感じるとか、やわらかく感じるとか、乗り心地が、とかだけじゃなく、セットアップに大きく関わる部分が変わるんですが、何だかわかりますか?

それは、「荷重移動のスピード」が変わります。
スプリングレートが硬くなると、荷重移動のスピードは速くなり、スプリングレートがやわらかいと、荷重移動のスピードは遅くなります。

よく、スプリングレートを硬くしたら、ステアリングレスポンスが上がった、なんて話を聞きますが、これは、まさに荷重移動のスピードが上がった結果、ステアリングの反応に対して、動きがクイックになったということになります。

この特性で、U/S ・ O/S のバランスを出していくというのが、スプリング交換の醍醐味だと
田中は思うのです。
(詳しくは、ハイパコのHPへ)


だから、レーシングチームは車両の状態や、コースレイアウトに合わせるため、とんでもない数のスプリングをサーキットに持ち込むわけです。

ちょこっと、サーキットのレイアウトとスプリングレートの関係に触れると、
たとえば、十勝や菅生のように、比較的Rの浅い(あまり曲がり込んでいない)高速コーナーが多いサーキットでは、荷重移動が速いほうが有利です。
なぜなら、コーナーに向けてハンドルを切り込んだ瞬間、一気に荷重移動してくれた方がレスポンスよく、ハイスピードでコーナーに進入できるからです。この手の高速コーナーは、入口でレスポンスさえしてくれれば、後はアクセルを踏んで立ち上がるのみです。

反対に、筑波や岡山国際、茂木といった、かなり回り込んでいる、Rの深いコーナーが多いサーキットでは、荷重移動がゆっくりの方がコーナーの奥まで外側のタイヤに荷重を残せるので有利です。
このようなタイプのサーキットで、荷重移動の速いレートの高いスプリングを組んでしまうと、いったん外側のタイヤに移った荷重が、コーナリング中に内側に戻ってきてしまい、
一番グリップの欲しいクリッピングポイント直前で、グリップが不足してしまいます。

スプリングって、奥が深くて楽しいでしょう?

次回からは、アライメントによるセットアップです。
次回は8月18日頃に更新の予定です。
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