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   <2007年6月16日>
第45回
「足回りのセットアップ 9」 <スプリング編B>

こんにちは。

前回の、スプリングのクォリティによる乗り味の違いは、かなりマニアックな内容でしたが、理解いただけたでしょうか?

ポイントは、初期レートが表示どおりでていないスプリングは、コーナリング時に内側の伸び上がり量が多くなり、ドライバーはロールを大きく、そして不安定に感じてしまうということです。

ということで、今回は 「スプリング編 第3弾」。
スプリングのストローク量と荷重の関係についてのお話です。

ドライビングにとって、一番難しく、そして一番有効なテクニックは、グリップが必要なタイヤに魔法のグリップを与えてくれる荷重移動です。

そして、この荷重移動を有効に使うには、まず、今どのような荷重移動が行われているかを、的確に感じ取ることが重要となります。

では、どのようにしてドライバーは荷重移動を感じ取るのでしょう?

ズバリそれは、「クルマの傾き」です。
そう、前後左右にクルマがどれぐらい傾くかにより、移動した荷重の量を推測するというわけです。

そして、クルマの傾きを決めているのが、スプリングのストローク量になります。
もちろん、基準点は"1G"となり、コーナリング時であれば、外側のスプリングは"1G"から縮み、内側のスプリングは"1G"から伸び上がります。この左右差により、クルマが傾きますので、この傾きの大きさから荷重移動を感じ取るのです。

じつは、傾きを感じ取るというテクニックは、さほど難しくありません。
人間の感覚はみなさんが思っているより高いからです。たとえば、いいかげんに貼ったステッカーが、ちょこっとだけ斜めになっていた場合、なんとな〜く、斜めになっていることはわかるでしょう?でも、その斜め具合を計測してみると、1ミリより小さな違いだったりするわけですよ。
だから、シッカリ感じ取る準備(体に力が入っておらず、ドキドキしていない状況)さえできていれば、いつもよりロールが少ないとか、コーナーの頂点に向かって、少しずつロールが大きくなっているとか、さっきのコーナーより少しロールが多いとかが、わかりはじめます。

後は、ハンドル、ブレーキ、アクセルを使って、このロール量をコントロールすることができるようになってきます。
そう、これが荷重移動です。

が、しかし、使用しているスプリングがストローク中にレートが変化するタイプだったり、ヘタリの発生により左右でレートがそろっていないような精度の悪いスプリングを使っていると、ドライバーが感じたクルマの傾き(スプリングのストローク量)と、実際に移動した荷重とがリンクしなくなってしまいます。

そうなると、ドライバーは、荷重を有効に使用できないばかりか、荷重移動すら的確に感じられなくなってしまうのです。

スプリングは、荷重移動をマスターするのに、とても重要なパーツです。
スプリングのクォリティの良し悪しで、簡単に荷重の移動量が正しく想像できたり、まったく想像ができなかったりするほど、荷重移動のキモとなるパーツなのです。

レースの世界でも、セットアップが決まっているレーシングカーに乗れば、荷重の移動量が手に取るようにわかります。そして、どんなレーシングドライバーが乗っても乗りやすく、扱いやすいのです。その結果、運転がどんどん上手くなっていきます!

でも、セットアップが決まっていないレーシングカーに乗れば、荷重の移動量が上手く伝わってこなくて、恐怖ばかりが先にたち、運転はどんどん下手になってしまいます。このままセットアップが決まらない状態で乗り続けると、車からどんどん運転技術を吸い取られて?しまうのです!


そう、荷重移動を有効に使用するには、荷重移動を的確に感じ取れるセットアップが必要不可欠ということです。

では、次回は、スプリングレートによるセットアップの話をしましょう。

次回は7月17日に更新の予定です。
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