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   <2007年5月8日>
第44回
「足回りのセットアップ 8」 <スプリング編A>

こんにちは。
ゴールデンウィークも終わり、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
田中は、引退後初めてのゴールデンウィークを南の島で満喫し、真っ黒に日焼けしてしまいました。
今までゴールデンウィークといえば、フジのGTでどこへも行けませんでしたから・・・・・。

でも、もちろん帰国後すぐにフジへ応援には行きましたよ。
何とか、大嶋/石浦コンビは今回も表彰台をゲットし、GT300シリーズもトップのまま。
めでたし、めでたしです。


では、今回は "スプリングの性能による、ロールの違い" の話をしましょう。


まずは、下のグラフを見てください。





このグラフは、一般的なスプリングのストローク量とレート変化を表すグラフです。
横軸にはストローク量を縦軸には表記レートからの"ズレ"をプラス・マイナスで%表記してあります。
プラス側だと表記よりレートが高く、マイナス側だと表記よりレートが低い、ということになります。

赤のラインは一般的なスプリング。
そして、青のラインがリニアなレートが売りのハイパコスプリングとなります。

まず、この比較で目に付くのが "A" の部分ですよね。

ここは、スプリングの縮み始めにあたり、ドライバーがロールを感じる上で大きなポイントになります。


では、詳しく説明しましょう。

みなさん、 "1G" という状態は知ってますよね。
たとえば、重量が1200kgあるクルマで、4輪に均等に重さがかかっているとすれば、
静止状態で1輪あたり300kgの荷重がかかっていることになります。
この状態のことを "1G" と呼びます。

これをスプリング側で考えると、自由長の状態から300kgの荷重がかかることになり、
スプリングレートが10kg/mmなら、30mmスプリングが縮んだ状態となります。(下図参照)





が、しかし、上のグラフで見ると、ハイパコならちょうど30mm縮みますが、縮み始めのレートがやわらかい、赤ラインの一般的なスプリングでは、レートがやわらかい分だけ多く縮んでしまいます。仮に、このスプリングでは35mm縮んだと仮定しましょう。当然、同じレートのスプリングを組んだとしても、車高が変わってしまうのはこのことが原因です。

スプリングは、この "1G" の状態から、荷重が加われば縮み、荷重が抜けると伸びるといった動きをします。S時コーナーでのフロントスプリングで考えてみるとわかりやすいと思いますので、シッカリ想像しながらこの先を読んで下さい。

たとえば、右コーナーで左側のスプリングにプラス200kgの荷重がかかると、"1G" で30mm縮んでいるハイパコは、そこから20mm(合計50mm)縮むことになります。反対に、右側は荷重が200kg抜けて、 "1G" での30mmから20mm伸びる(自由長から10mm縮んだ)状態になります(下図参照)。







そして、次の左コーナーに向けてハンドルを左に切ると、今度は反対に、右のスプリングは自由長から50mm縮んだ状態となり、左のスプリングは自由長から10mm縮んだ状態となります(下図参照)。






ここでのポイントは、荷重移動により縮んだ外側のスプリングと、伸び上がった内側のスプリングのストロークにおいて、 "1G" 状態から"方向"は反対ですが、"量"は同じだということです。

でもって、外側と内側タイヤのストローク量が同じなら、ドライバーはリニアなロールを感じられるのです。そう、外側のタイヤが20mm縮んで、内側のタイヤが20mm伸び上がる状態こそが、ドライバーが一番、荷重移動を感じやすく、安定したロールと言えるわけです。

でも、赤ラインの一般的なスプリングでは、どうなるでしょう?
このスプリングの "1G" を35mm縮んだ状態と仮定すると、200kgの荷重移動により、外側のタイヤは、35mmからプラス20mm(合計55mm)縮むことになります。そして、内側のタイヤは荷重が200kg抜けると、20mmではなく、22mmもしくは23mm伸び上がることになってしまいます!(下図参照)







こうなると、外側のスプリングが縮んだ量より、内側のスプリングが伸び上がった量が大きくなる為、ドライバーは、ロールを大きく感じてしまいます。

そう、これがリニアにロールを感じられない原因です。

もちろん、これらにはスタビの要素は度外視していますが、内側の伸び上がり量が外側の縮み量より大きくなると、内側がめくれ上がったようになり、ロールが大きく不安定に感じてしまうのです。

これぞ、まさにスプリングのクォリティによる、乗り味の違いです。

また、この状況を阻止するべく、不必要にスプリングレートを硬くしたり、ダンパーのリバンプを強くすると、ベストセットからどんどん離れていってしまうというわけです。

いかがでしたか?理解できましたか?
ちょっと難しいと思いますが、もし、硬さはちょうどいいのにロールが大きいと感じるなら、スプリングのクォリティを疑ってみるのもアリかも知れませんね。

次回は、「スプリングのストロークと荷重の関係」のお話です。
次回は6月15日更新の予定です。
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