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第8回 「荷重編(1) 〜ブレーキング〜 <2004年7月15日>

荷重って???
  さあ! 今回からはドラテクの真髄! 荷重編です!

  Vol2 のタイヤ編(1)で少し触れたけど、今回からはジックリと時間をかけて説明したいと思います。 

グリップ発生の秘密
荷重のグリップとは、タイヤの性能に関係なく、タイヤを上から押さえつける(荷重をかける)ことによって発生します。  上から押さえつける力が強ければ、強い程、そのタイヤはグリップするということです。4本のタイヤが各々に必要なグリップを、必要なタイヤだけドライバーが振り分けられます、まさに”魔法のグリップ”なのです。

【荷重グリップの公式】 

      タイヤに荷重をかける = タイヤに重さをかける = グリップが上がる

分かりにくいと思うので! 例を挙げて説明すると・・・
ブレーキを例に説明してみましょう。
皆さんも知っていると思いますが、「ブレーキローターや、ブレーキディスクは、フロントとリアでどちらが大きいでしょう??」 という質問に、ほとんどの人が「フロント!」と答えると思います。
では 「それはなぜ??」 と聞かれたら、どれくらいの人が正確に答えることができるでしょう。

ブレーキ容量は FF ・ FR ・ 
ミッドシップ ・ RR ・ オートバイ等、全てフロントが大きいですね。
要するに「リアブレーキ」よりも「フロントブレーキ」のほうが良く効く構造となっています。
仮に、FRやミドシップのようにフロントタイヤよりもリアタイヤが太いクルマでも、ブレーキはフロントがリアよりも効くようになっています。

そして、「それはナゼ??」の答えは、 ズバリ! 「荷重グリップ」の中にあります。

止まるためにフルブレーキをしたとしましょう。
ブレーキング中にクルマはドンドン”前のめり”になりますよね。”前のめり”とは、フロントがしずんで、リアが浮き上がろうとする状態。要するにフロントには荷重がかかり、反対にリアは荷重が抜ける状態です。

重量で話をしますと、総重量が1000kgあるクルマのコーナーウェイト(4輪のタイヤにかかる重量)が静止状態で各々250kgあるとしましょう。(1000kg÷4=250kg)
このクルマがフルブレーキを掛けたことにより、例えばフロントが左右とも350kg(100kg増加)。リアが左右とも150kg(100kg減少)となるわけです。
当然、荷重の掛かったフロントタイヤはグリップが上がり、よりブレーキを掛けられますので、その分良く効く(容量の大きい)ブレーキを使用することができ、荷重の抜けたリアはあまり強いブレーキが掛けられないので、それに見合った(容量の小さい)効き目のブレーキとなるのです。

ドラテク的にもう少し突っ込んだ話をすると・・・
上手な人のフルブレーキ時の踏み方は、スイッチのように”ガツンッ!”と踏むのではなく、ある程度”ギュッ”とふんでから、どんどん踏力を上げていきます。

なんで???
これは、荷重と密接な関連があります。 はじめの”ギュッ”で、ある程度フロント荷重にしておいて、後はフロントの荷重が増えるに従って ”ジワ〜”と、どんどん踏力を上げて行くのです。
ナゼかというと、最終的な踏力(ブレーキを踏む力)は同じでも ”ガツンッ”と踏んでしまうと、フロントに荷重が乗りきっていない状態で100%のブレーキをしてしまうので、簡単にロックしてしまいますよね? 
これはフロントのブレーキ容量が大きな分、荷重が前後均等に掛かっている状態では、フロントの ”グリップ力” に対して ”ブレーキング力” が強すぎるのです。

また、初期のブレーキングが上手くいって、どんどんフロント荷重になって、それにあわせて踏力を強めていってからフロントタイヤがロックする場合は、そのタイヤの限界をブレーキ踏力が超えたことになります。

究極のブレーキングとは・・・
いずれにせよ、荷重変化を上手く使った究極のブレーキングとは、ブレーキの踏み始めで、出来るだけ強く踏み(それでもロックさせないように瞬時にコントロール)、早くフロント荷重状態を作り、後はタイヤの荷重グリップに合わせて踏力をコントロールすることです。

但し、後半の踏力コントロールは、ちょっと練習すればできるようになりますが、踏み始めの踏力コントロールは、かなりのトレーニングが必要です。(乗っているクルマの状態によっても変化するしね)
でも、この荷重のお話をよ〜く理解して、考えながら練習すれば、きっと今よりブレーキングが上達しますよ!これは間違いありません。

もちろん練習するときは、周りが安全な場所かを、よ〜く見てから練習してね!

次回は、荷重編(2)「加速」です。

次回は、8月15日予定です。
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