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第35回 <足回りのセットアップ編> その2 <2006年7月15日>
みなさん、こんにちは。
前回の問題は、いかがでしたか? ちょっと、難しかったですかね・・・・・。
3つとも正しいように思うでしょう??
では、答え合わせをしましょう。

答えは、@の全体的にロールが少なくなる。が正解です!
これが、すぐに判った人は、かなりのドラテクマニア間違いなしです。
消去法で考えると、
Aの重心が下がることで、スポーツ性が向上し、クルマが"キビキビ"動く。 は、まさに、車高を下げたことによる最大のメリットですよね。野球でも、バレーボールでもスポーツはみんな、腰(重心)が低いほうが良いですよね。素早く、俊敏に動けるということは、クルマでも同じ。
よって、◎ということになります。

次に、Bの キャンバーがネガ方向に付くのでコーナリングの限界が上がる。 ですが、
もちろん、AE86のリヤのように、車高が落ちてもキャンバーが付かないクルマもありますが、一般的には、車高を落とすと、キャンバーが付きます。純正車高のキャンバー角で、スポーツドライビングをすると、コーナリング中のタイヤのヨレから、キャンバー角が不足します。
よって、こちらも、◎ということになります。

ということで、@の全体的にロールが少なくなる。が、×ということになります。

"エッ〜"っと、反論が聞こえてきそうなので、説明しましょう。
車高を下げると、重心高(重心の高さ)が低くなるのと同時に、ロールセンターと呼ばれる、ロールの中心点というか、ロールする時の基準点も下がります(ロールセンターの説明は、かなり複雑で、クルマの設計に関する部分なので、説明は控えますね)。
このポイントが下がると、ロールは大きくなる方向になり、"全体的にロールが少なくなる"というのは、間違いとなります。
ただ、車高を低くする時に、ノーマルサスペンションから、車高調やローダウンスプリングに交換して、スプリングレートが硬くなってしまうケースが大部分のため、"全体的にロールが少なくなる"と、思い込んでいる人が多いのだと思います。
(もちろん、スプリングレートが上がると、ロールしにくくなることは理解できますよね?)

しかし、全体のロール量は増えても、重心高が下がることから、ドライバー的にはクルマの動きがつかみやすく、スポーツ性が向上し、クルマがキビキビ動くので、断然メリットの方が大きくなります。だから、車高はできるだけ低いほうが、クルマのレベルが上がるわけです。

また、空力的にも有利になります。
車高を下げると、クルマの天井の高さが低くなり、ドラッグが減ってストレートスピードもアップするのです。もしかすると、高速を多用する人は、燃費も良くなるかもしれませんね。

でも、デメリットもありますのでご注意を。

デメリット1
車高を下げすぎて、路面とクルマが干渉(ボトミング)すると、タイヤにかかっている荷重が、一気に抜けるので、急にグリップしなくなります。雨のレースで、レーシングカーの車高を少し上げるのも、水溜まりでのボトミングで、タイヤから荷重が抜けないためのセットアップです。こうなると、クルマは、完全にモーターボート状態となりコントロール不能になってしまいます。
また、あまりにも車高が低いと、サーキットで縁石に乗った時に、激しくオイルパン等をヒットし、大ダメージになる可能性もあります。

デメリット2
車高を下げることで、著しくトーインが変化するような車種は、極端な車高ダウンはNGです。
たとえ、その車高で、トーインを取り直したとしても、そこからストロークするにつれてトーインがバリバリについてしまうからです。
また、アーム類が何かに干渉してしまうのも、もちろんNGです。


いかがでしたか?
車高を下げることのメリット・デメリット。ちゃんと理解できましたか??
ちなみに、GTのレギュレーションでは、最低地上高は5センチと決められています。
要するに、重心高や、空力面でクルマがどんどん速くなることをレギュレーションで阻止しているということなのです。
デメリットさえクリアーできれば、効果絶大の車高ダウン。もし、まだストリートの最低地上高9センチに余裕があるなら、一度お試しあれ。


次回は、車高を利用した、セットアップ方法の話をしましょう。

次回更新は、8月10日を予定しております。
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