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  <2007年10月17日>
第50回
「足回りのセットアップ 12」 <アライメント編A>

めっきり、秋らしくなってきましたね。

では、前回の続きのお話をする前に、先日、某ミニサーキットにパーツテストに行った時の、
さみし〜い話しをしましょう。

早朝に、サーキットに到着し、走行券を買いに行ったら、受付のオネエサンに、「ライセンス持ってますか?」って笑顔で聞かれました。

「ここを走るのは初めてです」と、笑顔で答えると「だったら、ライセンスを取ってください」ということになり、「では、お願いします」と言ったら、「午前中に講習を受けてもらわないと走れません」ということになってしまいました。

で、午前中に走れないとテストが消化できなかったので、長年レースをやっていたことを話し、なんとか"講習なし"でお願いしたら、「じゃ、JAFのライセンスは持ってますか?」って、聞かれたので、「いや・・・、もう、持ってません・・」と答えると「だったら講習を受けてもらわないと走行できませんよ」と、とっても厳しい口調に変わりました。
(せっかくつらい思いをして引退を決断したのだから、ケジメをつけようと、ライセンスの更新をしなかったのです・・・。インターナショナルBだったのに・・・)

田中     「講習って、黄色い旗はどういう意味?とかの講習ですよね??」

オネエサン  「そうです」

そこで、目に飛び込んできたのは、受付にあった中島一貴と大島和也のサイン入りの写真!
これはシメタ!と思って、

田中     「あの〜、この中島一貴とか大島和也の先生をやってたことがあるんですけど、それでも、ダメでしょうか?」

オネエサン  「でも、ライセンス持ってないんですよね」と、あっさり・・・。

田中     「う〜ん、困ったな・・・・・」

と、四苦八苦している私を見ていた、某パーツメーカーの開発のお兄さんは大笑いです。

よく考えたら、レーシングドライバーってサーキットライセンスは、ほとんど持ってないんですよね。
だって、レースやイベントで走る時は、貸切になるわけですから、サーキットライセンスなんて必要ないのです。

以上、自分のマイナーさに、打ちひしがれた、さみし〜い話しでした。



さてさて、今回は、キャンバーの続きです。

キャンバーが必要な理由は、前回お話ししたとおりですが理解できましたか?

では、ここで問題です。

A君はタイヤのインチアップをしました。
交換前のキャンバーが適正であった場合、交換後キャンバーはもっと必要ですか?
それとも、交換前ほど必要ではありませんか?


カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・カチッ、
 

カチッ・・・カチッ・・・カチッ、


カチッ   

  
ジャジャ〜ン


では、正解を発表します。
前回のタイヤがヨレることによって、キャンバーが必要だということを理解していたら、簡単ですよね。

タイヤのインチアップを行うと、タイヤの横剛性が上がりますので、タイヤがヨレにくくなります。だから、答えはキャンバーがインチアップを行う前ほど必要ではなくなるが正解です。


キャンバーを付ける目的は、何よりもコーナリング中にタイヤの接地を確保することです。
ただ、キャンバーを付けると、コーナリング時のイン側タイヤや、直線でのブレーキングでは、接地が悪くなってしまいます。また、付け過ぎるとトラクションまで悪くなる場合もあるのです。

ということで、キャンバーセッティングにとって最重要ポイントは、"どこに合わせるか"です。いくら、高速コーナーでキャンバーがピッタリ合っていたとしても、ブレーキングやトラクションでタイヤのパフォーマンスが下がるようでは、良いセッティングとは言えません。

また、それ以前に、現在のキャンバーが全体的に不足しているのか、適正なのか、それとも付きすぎているのかを判断することが結構難しいのです。
もし、走る時間がたっぷりあるなら、いろいろとキャンバーを変更してみて、順列組み合わせにより、適正キャンバーを選び出すといったことができますが、現実的ではありません。

そこで、キャンバーセッティングの強い見方になるのがタイヤ温度計です。

そう、走行直後にタイヤ温度を測ることにより、キャンバーが適正かどうか明確にわかるのです。
たとえば、走行後の温度分布が、下図のようになったとしましょう。



          70  80  90



このような、温度分布ならキャンバーが足りません。
完全にタイヤが外当たりしていますので、キャンバーを付けると、よりグリップするセットアップになります。

では、次の温度分布ではどうでしょう?



          80  80  80


温度がそろっており、一見、いかにもキャンバーが合っているように思いがちですが、
これでも、キャンバーが不足しています。

なぜなら、クルマはいつもコーナリングしているのではなく、直線も走るからです。
コーナリング中にキャンバーが適正で、タイヤの内外が均等の温度でも、直線走行中に
あたりの弱いタイヤの外側の部分は冷えるからです。

では、次の場合はどうでしょう。



          85  80  75



こうなったら、キャンバーはほぼ適正です。
計測はできませんが、コーナリング中の温度分布は、ほぼ均一だったと考えられるからです。

では、最後に次の温度分布はどうでしょう。



          85  70  50



こうなって、はじめてキャンバーが付き過ぎの状態です。
ブレーキが厳しくなり、トラクションもかなり悪くなると考えられます。



キャンバーのこと、よ〜くわかりました?
せっかく、235サイズのタイヤを買ったのに、205サイズしか使っていないなんて、ちょっともったいないですもんね。

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次回は、トーインによるセットアップです。


次回は11月21日頃に更新の予定です。
※執筆者業務多忙につき、更新が遅れている状態です。
講座を楽しみにされている読者の方々には、
大変申し訳なく心苦しく思いますが、
もうしばらくお待ち頂けますよう、お願いいたします。
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