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第4回 「タイヤ編(3) 〜適正空気圧で走ってる?〜 <2004年5月8日>
自分のクルマの適正な空気圧っていったい何kg/cm2なのだろう?
って疑問に思ったことないですか?
“オレは飛ばすから、ドアの横に書いてある数値よりちょっと高めかな?”
って思ってる人・・・・・・・・・タイヤのグリップをドブに捨てているかもしれませんよ〜。
ということで、タイヤ編、第3回目は
「空気圧」の話です。

タイヤの空気圧って???
まず、みんなも知っていると思うけれど、タイヤの空気圧には温間冷間があるよね。
タイヤの温度は、グリップ(摩擦)で温度が上昇し、同時にタイヤの中に入っている空気も温度が上がリます。
気体は温度が上昇すると膨張するから空気圧も上昇するって訳です。
よって、走りに影響するのは、温感、すなわちタイヤが温まっている時の空気圧です。
適正空気圧は、クルマの重さと、走行中に各々のタイヤにかかる最大の荷重(重さ)と密接な関係にあり、タイヤの構造の強さにも左右されます。

空気圧が高すぎると・・・
(1)接地面積の減少(図参照)
(2)タイヤの縦剛性(上から押したときの硬さ)が上がる
 
図にもあるように、空気圧が高すぎると、タイヤのトレッド面が丸くなってしまい、接地面積が減少してしまいます。

せっかく、245のタイヤを履いているのに、実際には185しか使っていない人、けっこういると思いますよ。
特に、FRの駆動輪の接地面積が減少するとトラクション性能が一気になくなり、アクセルを踏むとかんたんにオーバーステアーになってしまいます。
走行会で、走りはじめはちゃんとグリップしているけれど、10ラップもするとコーナー出口でのオーバーステアーがどんどん強くなる場合は、ほとんど空気圧が高すぎることが原因です。

それに、タイヤ自身のタワミ量が少なくなって、全体にゴツゴツとした硬い感じにもなります。
この硬さが、クルマの“跳ね”を誘発し、グリップが安定しない症状も、空気圧が高すぎることが原因です。


空気圧が低すぎると・・・
(1)タイヤがホイールから外れる
(2)タイヤの縦剛性が下がる
(3)トレッドの中央部分が接地しない
空気圧が低すぎる状態で、大きな荷重+強烈な横“G”がかかると、タイヤはホイールからズレて中の空気が全部抜け、最悪の状態では外れてしまいます。
これは大トラブルです。
また、タイヤの縦剛性が下がり、コーナリング中のふんばり感がなく、全体的にフワフワした不安定な感じが発生します。
要するに、空気圧が高すぎる場合は、接地面積の問題でグリップがダウンし、低すぎる場合は、トラブルの原因となる訳です。

メーカー推奨空気圧って???
そこで出てくるのが、ドアの横に書いてある数値なのですが、この数値は定員乗車時(5人乗りのクルマの場合は、大人5人が乗った重さ)に絶対タイヤがホイールのリムから外れない数値に、プラスアルファ−(安全性のマージン)を加えた数値となっています。
ですから、サーキット走行をはじめとするスポーツ走行時にドライバーのみで走る場合、ちょっと高すぎる数値となってしまう可能性大なのです。

また、ワイドタイヤのほうが空気圧によりトレッド面が変形しやすいことも重要なポイントです。
たとえば、レーシングカーの空気圧はGT選手権の場合、だいたい1.8kg/cm2ぐらいが適正で、1.9kg/cm2になると確実にグリップダウンを感じるぐらいシビアなもので、フォーミュラーカーになると、車重が軽いので1.2kg/cm2ぐらいが最適とされています。

本当の適正空気圧は???
では、実際どうやって適正な空気圧を見つければいいのか?
答えは、タイヤ温度にあります。
走行後に、図のの部分の温度を計測する(右の写真の様によくサーキットでタイヤサービスの人がやってるでしょう?)のです。
タイヤ温度測定中
計測のポイントは、タイヤの表面で測るのではなく、ブロックの中の温度を計測することです。
だから、タイヤ温度計は非接触のタイプはNGで、必ず、ブロックの中まで刺して計測するタイプの温度計が必要です。(BILLION デジタルテンプテスタ−が最適!)
なぜかというと、構造のゴムと、トレッドのゴム(コンパウンド)の継ぎ目あたりが一番、蓄熱しているからなんです。(タイヤ表面だと、すぐに温度も下がってしまいますので正確なタイヤ温度は計測できません。)
タイヤは、強く路面に押し付けられている部分の温度が上昇する特性をもっていますので、この温度によって、トレッドのどの部分が強く路面に押し付けられているかが、わかるのです。
たとえば、
なら、トレッドの真ん中が強く押し付けられている。
ということは、空気圧が高すぎるという判断になります。
 
反対に、
だと、両外が強く押し付けられているので、空気圧が低すぎるという判断になります。
 
また、
のように、温度に傾きができる場合、これはキャンバーの問題で、この場合でもBがAとCの間に入っているようなら、適正な空気圧と言えます。

これらの温度で、温感状態の適正空気圧を把握し、走行後、十分タイヤを冷やしてから、もう一度、空気圧を測ります。
当然、温度が下がったことにより空気圧も下がり、それが冷間の空気圧ということになります。
次に走りにきた時は、この冷間の空気圧から走り始めれば、温間の空気圧が、ほぼ狙いどおりのところにくるはずです。(タイヤ温度が温まるまでは、ちょっと控えめに走って下さいね。)

それに、最近、空気の変わりにタイヤに窒素を入れるのが流行っていますが、もちろんレーシングカーも空気ではなく窒素を使用しています。窒素の方が温度の変化に対して、空気圧の変化量が小さいメリットがあるからなんです。

いかがでしたか? 適正空気圧の話。
別に、怖い思いをしなくても、タイヤの性能を適正空気圧で最大限に引き出せば、カンタンにライバルに勝てるかも?
おまけに、タダでできちゃいますよ。
次回はちょっとマニアックに、一発タイムを出すときのタイヤの暖め方の話です。
次回は、5月17日予定です。
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